海外で働くためには、求人票に書かれている応募要件に加え、就労ビザや労働許可書(ワークパーミット)取得条件を満たしているかの確認が必須です。就労ビザ・労働許可書(ワークパーミット)とは、その国で働くための許可書で、その取得要件は国によって異なります。

今回は、中国本土・香港・タイ・ベトナム・インドネシア・インド・シンガポール各国の就労ビザと労働許可書の取得条件をまとめました。転職を希望国の条件を確認し、ご不明点はキャリアアドバイザーにご相談ください!

中国本土

一般的に中国本土で就労するために必要なもの

Zビザ+工作許可書+居留許可書

その他にも就労できるビザは存在します。詳しくはこちらからご確認ください。

ここではZビザについて詳細を説明します。

中国ビザセンター「中国ビザの種類と所要申請資料」
https://bio.visaforchina.org/TYO2_JP/upload/file/20170427/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%83%93%E3%82%B6%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E5%80%8B%E4%BA%BA%E7%94%A8170427.pdf

取得基準

Zビザ…ポイント表に従い、60点以上でZビザ取得可能

詳細

一般的に中国で就労する際に取得するのがZビザです。Zビザを取得できるかどうかは、まずポイント表を確認します。

上記の表に従い、ポイントを加算していき、60点以上でZビザの取得可能です。詳しくはキャリアアドバイザーにご相談ください。

目安としては、以下の通りです。

JETRO「中国における外国人就労許可管理制度改革の最新状況について‐法令の動向および実務上の問題点‐」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/2eb936722b622207/rpcn-201703.pdf

・24歳以上 原則60歳を超えない年齢
・犯罪記録がないこと 
 ※内定後の就労ビザ手続き時、都道府県警発行の犯罪経歴証明書を提出します
・学士以上の学位および 2 年以上の関連実務経験を持つ

しかし、必ずしも上記の場合でないとZビザを取得できないというわけではありません。

例えば、「高卒だが17年以上生産技術に携わっていて専門性が高い」「専門卒だが、広告営業で17年以上勤務していて業界に精通している」など、専門性が高いという観点でZビザを取得できる可能性があります。職歴・年齢・最終学歴などの組み合わせによって、取得可能性が変わりますので、まずは、キャリアアドバイザー相談していただくことがおすすめです。

また、Zビザ申請時には「在職証明書」にて2年以上の関連実務経験を証明する必要があります。「関連業務」であること「2年以上」であることの両方が必要で、この書類は「前職の企業側」から発行してもらう必要があります。2年の実務経験が2社にまたがっている場合は2社から取り寄せなければなりません。取り寄せが可能かどうかも考慮する必要があります。

参考サイト:

JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/2eb936722b622207/rpcn-201703.pdf

中華人民共和国駐日本国大使館
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/lsfu/hzqzyw/t1071920.htm

関連リンク

就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

香港

一般的に香港で就労するために必要なもの

・Employment Visa
・Dependent Visa
・Permanent Visa

取得基準(Employment Visaの場合)

・四年制大学卒業以上の最終学歴×関連業務経験3年以上~
・料理人など専門職は専門卒×7年程度の経験でビザがとれるケースもあり

詳細

①Employment Visa(就労ビザ、転職時にスポンサーチェンジが必要)

大学卒もしくは同等以上の学歴、および3年程度の関連業務経験を持っていることが基本的に必要です。特に若手の場合は、これまで経験してきた職種や業界と、香港で就業予定の職種や業界の関連性が重要視される場合があります。(例えば、日本で人事総務を経験してきた人が、香港では営業の仕事に就く場合、職種を変える明確な理由を述べるために追加の書類などを要求されるケースがあります。)有効期限内であれば香港での転職も可能であり、転職した場合は雇用者(スポンサー)の変更手続きをする必要があります。スポンサーチェンジの場合は初回の申請時よりもハードルは低く、数週間程度で手続きが完了します。また就労ビザの場合、スポンサー企業以外での就労は認められていないので注意が必要です。

②Dependent Visa(家族ビザ)

香港人や、香港で就業可能なビザを所有している外国人と結婚した場合、申請すればほぼ確実に家族ビザを所持することが可能です。また香港は家族ビザでの就業や起業が可能であり、就業ビザとは異なり副業やパートタイムでの就業も可能で、自由度が高いです。

③Permanent Visa(永住権)

就業ビザや家族ビザなどの有効なビザを保有しながら香港に継続して7年間居住すると、永住権を申請・取得ですることができます。永久居民となれば選挙権が付与される上に、スポンサー(雇用企業や配偶者)を必要とせず香港に居住することが可能となります。

参考サイト:

Hong Kong Immigration Department
https://www.immd.gov.hk/eng/services/visas/GEP.html

関連リンク

就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

タイ

一般的にタイで就労するために必要なもの

ノンイミグラント-Bビザ+労働許可書(ワークパーミット)

その他にも就労できるビザは存在します。詳しくはこちらからご確認ください。
タイ王国大阪総領事館「ビザについて」
http://www.thaiconsulate.jp/visa-top/

取得基準

特になし

詳細

タイは、東南アジアの中でも比較的就労ビザ(ノンイミグラント―Bビザ)と労働許可書(ワークパーミット)が取りやすい国です。就労ビザ(ノンイミグラント―Bビザ)や労働許可書(ワークパミット)を取得するために決まった基準は特になく、新卒や業界経験がなくても基本的にはビザ取得が可能です。

しかし、採用する企業側には何点か条件があります。

・外国人1名につき、タイ人従業員を4名以上雇用すること。
・勤務先企業の会社の払込資本金額が、外国人の労働許可申請1人につき200万バーツ以上であること(労働省規定)。ただし、タイ人の配偶者の場合は100万バーツ以上。
・BOI認定企業の場合は、ビザ取得が優遇されるケースがある。(企業様が、あらかじめBOI要件についてどのようなポジションがあるかを事前に把握しておく必要あり)
・タイ人の雇用を守るため、指定された特定の職業には就労できない

参考:Jetro 「タイ:外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_05.html

雇用主が配慮する内容ではありますが、タイで就労する場合は知っておくと良いでしょう。

とはいえ、近年、就労ビザの取得が難しくなっているという報告も受けています。例えば、経験者の採用の場合は、就労ビザ申請時に提出する「就業証明」で経験者であることがわかるよう記載していなければならない、等です。就労ビザ申請時は企業様とよく相談をして進めましょう。

参考サイト:
JETRO
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_05.html

在東京タイ王国大使館
http://site.thaiembassy.jp/jp/

関連リンク

就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

ベトナム

一般的にベトナムで就労するために必要なもの

就労ビザLD+労働許可書(ワークパーミット)+一時在留許可証(テンポラリー・レジデンスカード)

JETRO「ベトナムにおける 労働許可書/ビザ(査証)の取得手続き」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/7449e5550e1db333/vn-rp.pdf

取得基準

・管轄機関から雇用について書面で承認を受けている「専門家」、「技術者」であること
・就業職務において健康上支障が無いこと
・ベトナム及び海外において犯罪歴のないこと

詳細

「専門家」、「技術者」という定義は以下の通りです。

専門家:

① (ベトナムでの職務内容に関連する分野の)大学卒業証明書、或いは同様の学位を持ち、かつ当該分野において3年以上の実務経験を有する方 
②(ベトナムでの職務内容に関連する分野での)5年以上の実務経験を有し、かつ当該分野の専門資格を持つ方。
③ 労働省の要請によって首相が特別に決定して頂く方

技術者:

①技術的分野或いはその他の分野にて1年以上専門教育を受け、かつ当該技術分野で3年以上の実務経験を有する方​​​
②(ベトナムでの職務内容に関連する分野での)5年以上の実務経験を有する

また、申請時には「在職証明書」にて2年以上の関連実務経験を証明する必要があります。「関連業務」であること「2年以上」であることの両方が必要で、この書類は「前職の企業側」から発行してもらう必要があります。2年の実務経験が2社にまたがっている場合は2社から取り寄せなければなりません。取り寄せが可能かどうかも考慮する必要があります。

参考サイト:
JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/7449e5550e1db333/vn-rp.pdf

駐日ベトナム社会主義共和国大使館
https://vnembassy-jp.org/ja/%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0%E3%83%93%E3%82%B6%E5%8F%96%E5%BE%97%E6%A1%88%E5%86%85

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就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

インド

一般的にインドで就労するために必要なもの

就労ビザ(Employment Visa)

取得基準

特になし

詳細

インドは、アジアの中でも就労ビザ(Employment Visa)の取得しやすい国です。

就労ビザ(Employment Visa)を取得するための条件としてVISA基準と呼ばれるものがあります。

これは、企業様側に課せられるもので、外国籍の就労者が就労ビザ(Employment Visa)を取得するために、最低年収162万5000ルピーが支払われなければならないという基準です。そのため、求職者視点では、これを下回るオファーがないため、給与の安定性が守られていると言えます。

新卒~シニアまで幅広くVISAの取得が可能です。

就労ビザ(Employment Visa)を取得する際、英文自己推薦状もしくは前職の英文推薦状の作成・取得で戸惑うケースがあります。詳しくは、エージェントにご相談しましょう。

参考サイト:

インド大使館
https://indembassy-tokyo.gov.in/

関連リンク

就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

インドネシア

一般的にインドネシアで就労するために必要なもの

就労ビザ(Employment Visa)

取得基準

・就労予定の役職要件に応じた学歴を有していること(コミサリス(監査役)、取締役として就労予定の外国人を除く)
・就労予定の役職に従った能力証明および/あるいは少なくとも 5 年間の就業経験を有する(コミサリス(監査役)、取締役として就労予定の外国人を除く)

詳細

必ずしも上記の場合でないと就労ビザを取得できないというわけではありません。

例えば、「高卒だが長年生産技術に携わっていて専門性が高い」「専門卒だが、広告営業で長年以上勤務していて業界に精通している」など、専門性が高いという観点で就労ビザを取得できる可能性があります。長い期間界・職種が一貫しており、専門性が高い場合はキャリアアドバイザーに相談してみましょう。

参考サイト:
JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_05/pdfs/idn10A010_gaikokujinsyugyoukisei.pdf


日本ビザ申請センター
https://www.vfsglobal.com/japan/indonesia/Japanese/

関連リンク

就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

シンガポール

一般的にシンガポールで就労するために必要なもの

・Employment Pass(EP)
・S pass
・配偶者ビザ(Dependent Pass)+ EP か S pass もしくは Work Permit

上記のいずれかが必要になります。

取得基準

Employment Pass(EP)

・シンガポールでの雇用先が確定していること
・管理職、役員、専門職として勤務すること
・月額固定給が$4,500以上あること(金融系の場合は$5,000以上)
・シンガポール政府が認知した大学の卒業資格を有しているか、専門的な資格または能力を有すること

S pass

・月額固定給が$2,500以上あること
・大学卒業か短期大学、専門学校を卒業していること。またはそれに相当する学歴・専門技術資格の保有者であること。(学校については1年以上のフルタイムの学校である必要があります)
・実務経験があること

配偶者ビザ(Dependent Pass)+ EP か S pass もしくは Work Permit

・月給S$ 6,000以上の就労ビザを保持している方の、配偶者及び21歳以下の未婚で法律上子供にあたる方
・EPかS passを取得する場合は、上記基準と同じになる
・Work Permitを取得する場合は、50歳未満の年齢制限あり

 ※雇用主側には、申請枠の制限や人頭税納付義務等があります。

詳細

①Employment Pass(EP)

主にマネジメントや、専門性が高いポジションに就く方向けの就労ビザです。

ビザの取得可否には、国籍・経験・年齢・学歴・給与など様々な面から判断がなされており、特に給与水準については、経験や年齢に比例して、より高い給与が必要になります。

※学歴について、具体的にどの大学、どの資格がそれらにあたるかまではMOM(Ministry of Manpower/人材開発省)は明言されておりません。ご経歴に応じた就労ビザ発給に必要となる給与目安が異なるため、キャリアアドバイザーに相談いただくことがおすすめです。

②S pass

主にマネジメントまでは届かないレベルのポジションに就く、中位程度の技能を有する方を対象としている就労ビザです。

S passは雇用主の従業員数・従業員の国籍比率などで発給可能枠に制限があり、従業員数とは、月額固定給与が1400ドル以上のシンガポール人、永住権保持者、及びSパス、Work Permit保持者の合計人数(直近3か月平均)を指します。

③配偶者ビザ(Dependent Pass)+ EP か S pass もしくは Work Permit

月給S$ 6,000以上の就労ビザを保持している方の、配偶者及び21歳以下の未婚で法律上子供にあたる方、に対して発行されるビザです。2021年5月1日より配偶者ビザでの就労許可証が取得できなくなったため、就労するためにはS passかEPかWork Permitを雇用主に発行してもらう必要があります。

近年シンガポールでは、外国人の労働者が多いため、政府はその数を減少させるという施策を正式に発表している状況でビザの取得の条件が厳しくなっております。

参考サイト:

MOM
http://www.mom.gov.sg/foreign-manpower/passes-visas/s-pass/before-you-apply/Pages/default.aspx

関連リンク

就労のための基準と合わせて入社手続きと流れについてもご確認ください。

まとめ 

ご覧いただいたように、国によって、特に求職者側に条件を課さない国があれば、年齢・学歴・職歴等を制限している国もあります。求人票に書かれている条件が達していたとしても、就労ビザ・労働許可書(ワークパーミット)が取得できなければ現地で仕事をすることはできません。勤めたい国の取得要件を把握しておきましょう。まだ希望勤務地を決めかねている場合は、各国の情報と合わせて、就労ビザ・労働許可書(ワークパーミット)の内容も検討材料としましょう。

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