

ベトナムでは、医療環境の地域格差が広がっています。
また、都市部であっても、公立病院と私立病院での医療環境において大きな差があります。
ベトナムの公立病院では、
医療スタッフや医療機器の絶対数が不足しています。
しかし、地方と比較すると充実した環境であるため、
地方からの患者も集まり、常に病院のキャパシティーを上回る患者数で混雑しています。
そのため、日本人が公立病院で満足する医療を受けるのは困難な状況です。
また、公立病院ではベトナム語のみでの対応が基本のため、
さらに日本人には利用が難しい環境となっています。
ハノイやホーチミンなどの都市部であれば、私立病院やクリニックがあり、
一般的な病気であれば、日本人が満足に利用できる医療機関があります。
日系クリニックも進出しており、
日本人医療従事者や日本語を話せるスタッフが勤務している病院もあります。
私立病院の救急外来は24時間体制で対応しており、予約不要で受診が可能です。
しかし、専門外来については、まず予約を入れてから利用するのが一般的です。
保険会社によっては、予約代行のサービスを行っている場合もあります。
医療費の支払いは、現金払いが基本ですが、
クレジットカードでの支払いや、保険によってはキャッシュレスサービスの利用が可能です。
都市部では、日本人が満足に利用できる医療機関もありますが、
近隣の医療先進国(タイやシンガポールなど)と比べると、医療水準が劣るのが現状です。
重症の場合や、診断が難しい病気など、高度な医療が必要なときには、
近隣の医療先進国への移送や、日本での診断や治療も視野に入れる必要があります。
そのため、在ベトナム大使館では、
医療先進国への緊急移送特約を付加した保険に加入することを強く勧めています。
保険が適用される医療機関やキャッシュレスでの受診は、
加入される保険によってことなります。
詳細は、加入される保険内容をご確認ください。
□日本人がかかりやすい病気
・風邪、インフルエンザ、気管支炎などの呼吸器感染症
冷房が効いた室内や大気汚染などが一因となり、
呼吸器系の感染症にかかるケースがとても多いです。
日本では、乾燥した冬に流行するイメージのあるインフルエンザですが、
ベトナムでは、一年を通じて各地で強毒性の鳥インフルエンザが流行しています。
また、強毒性の鳥インフルエンザに感染した場合には、
隔離、入院治療先が衛生環境が劣る国立の指定病院に、限られています。
そのため、感染しないように気を付ける必要があります。
・急性腸炎、食中毒、寄生虫症
ベトナムでは、下痢は日常的な病気です。
高温多湿の環境でありながら、
生鮮食品の流通ルートやそれを扱う現場での衛生管理が徹底されていないのが現状です。
赤痢、アメーバ赤痢、A型肝炎、腸チフスなどに注意が必要です。
・蚊を媒介とした感染症
近年感染が拡大傾向にあるデング熱には注意が必要です。
ワクチンや予防薬、特効薬はないため、
蚊に刺されないように対策が必要です。
(虫除けスプレーや網戸の使用、長袖長ズボンの着用など)
また、身近な水たまりの水は捨てるなど、蚊を発生させない対策も重要です。
・交通事故
ベトナムの交通事故による年間死亡者は1万人以上です。
死因の一位が、交通事故による頭部外傷とも言われています。
道路の歩行時やバイクの利用時に、交通事故に巻き込まれるケースが多いです。
□渡航前に推奨される予防接種
在ベトナム日本国大使館からは、下記の予防接種を受けることを推奨しています。
強く勧めるもの :A型肝炎,B型肝炎,破傷風(追加接種)
望ましいもの :日本脳炎,季節性インフルエンザ
生活環境により考慮:狂犬病,腸チフス(日本では未認可)
高温多湿のベトナム。
常に、雑菌や病原菌の繁殖がしやすい環境です。
日頃から、水道水を飲まない、衛生状態の悪い店は避けるなど、
予防を心掛けておく必要があります。
また、曇りの日であっても、
熱中症や脱水症、日本よりも強い紫外線による日焼けに注意が必要です。
※上記の記事は、取材時点(2017年02月末)の情報を元に作成しております。
現在の現地事情とは、記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承下さい。