RGF International Recruitment Holdings Limited(本社:香港、 CEO:中重宏基)は、このたび、2019年7‐9月期の中国・東南アジア・インドにおける日系企業を中心とした求人・求職者の動向をまとめました。
当社で取り扱う日系企業を中心とした7-9月期の求人案件数は、前年同期比横ばいとなった。米中貿易摩擦の影響が求人動向にも出始めたのが去年のこの時期だったが、そこから1年米中貿易摩擦の悪化や中国経済の勢いが失速している状況を考えると、市場環境が芳しくないなかでも日系企業の採用ニーズは一定程度維持されているといえる。
業界別にみると、IT/通信が好調維持。日本におけるIT人材需給が2017年後半から逼迫の度合いを強めて以降、比例する形で中国での業界求人が増加している。日本での採用が難しいため中国で採用を強化するという長期トレンドは、今後も継続するだろう。日本以外の企業においてもITエンジニア、とりわけAI・機械学習を専門とするエンジニアの需要は高く人材の獲得競争が続いている。
日本人求職者に対する需要の高まりも見られている。米中貿易摩擦をきっかけとして、中国企業が米国以外の輸出市場の開拓を進めており、その一環として日本に進出するため、日本人を採用したいという問い合わせが増加。なかでも日本での支社立ち上げ、販売体制の構築経験がある人材などが求められている。
【転職事例】プロジェクトマネージャー(現地人材)/日系・IT企業/30代/約26万中国人民元(年収)
総経理
木村 秀之(きむら ひでゆき)
香港は逃亡犯罪人条例等改正案に対する抗議行動の高まりにより不安定な状況が続いている。転職市場に直接のインパクトを与えている、とまでは言えないものの、観光面で来港者が約4割減(8月対前年同月比)や小売業の売上が約20%減(対前年同月比)など経済にも影響を与えており、関連する業界の人材の流出や来年度の採用計画等につながると予測される。
業界別にみると、製造業や金融業が継続して求人案件数が多い状況に変化はない。製造業では営業アシスタント職(日本語要)の需要が高く、金融業(銀行や証券会社、保険、リース会社など)の採用も年間通じて続いている。
香港の状況を踏まえ、企業側も香港外からの求職者を想定していないため、日本人募集においても香港在住の求職者を対象とすることが多い。
現地の求職者の動きとしては、企業の半期が終了した時点、大学卒業のタイミングなどが重なっていたが、特に若手層は、香港情勢が落ち着くまで転職自体積極的ではないのか、そこまで登録者が増加しなかった。
【転職事例】ITマネージャー(日本人材)/日系・IT/40代/約46万香港ドル(年収)
ゼネラル・マネージャー
細田 裕子(ほそだ ゆうこ)
例年通り、4〜6月の新年度採用がひと段落した企業が多いことに加え、今年は四輪車・二輪車の販売台数が落ち込んでいることから自動車産業自体が停滞し、新規の採用活動も鈍化。また5月の国政選挙の結果がでるまで各企業が新規の事業計画を控えていたこともあり、全体的に新規求人は例年に比べて少ない印象。日系企業が多く関わっている新幹線プロジェクトも用地収用などが遅れており、プロジェクト関連企業の採用にも目立った動きは見られない。
インド国内の金融サービスが低迷しており、利用が多い自動車関連業界に影響が波及し産業全体が停滞している。自動車関連業界は日系企業が多くを占めるため、当社で取り扱う日系企業の求人案件は、前期(4-6月期)に比べ新規進出案件においては少なくなっている印象。一方でIT業界、リテール、飲食業界の進出は数社見られており、市場の成長性を期待した日系企業の新規参入は続いている。
日系企業の新規参入に伴い、現地企業も日系企業対応の体制を整えつつある。会計事務所、法律事務所などに加え、欧米系物流企業などでもジャパンデスク要員の設置が進み、日本人採用の需要が見られた。
【転職事例】通訳(現地人材)/日系・IT企業/20代後半/約240万円(年収)
カントリー・マネージャー
森土 卓磨(もりど たくま)
インドネシアの転職市場は政治の安定に伴い7-9月も活況。
当社で取り扱う日系企業を中心とした7-9月期の転職決定数では前年同期比で15%増加。上半期に選挙の影響で保留となっていた投資や採用活動が完全に復活してきたことからも、採用意欲は大変旺盛であるといえる。
業種別でみると、不動産開発、建設、IT、サービス業界等、非製造業からの求人案件の増加が目立った。自動車生産台数が少々伸び悩んでいる一方で、新港開発等の大規模公共工事の活性化や、長期的な経済成長への期待が背景にある。また流動性の高い日本語人材や、組織強化のための現地マネジメント人材の需要が引き続き高い。
日本人求職者については、7、8月は夏季休暇の影響もあり、転職希望者が減少傾向だったが、9月から再び転職希望者が増加。インドネシア国外からの転職希望者も引き続き増加傾向にある。今期は20代の離職中の求職者が多かったが、就職活動のスピードも速く、1ヶ月程度で決定されるケースが目立ち、採用プロセスの短縮や意思決定スピードが求められてきている。
【転職事例】現地法人責任者(現地人材)/日系・IT会社/40代前半/約10億インドネシアルピア(年収)
カントリー・マネージャー
梅原 達也(うめはら たつや)
シンガポール政府による、フィンテック領域やサイバーセキュリティへの取組み強化の影響に加え、東南アジアでのIT部門を強化したいと考える日系企業の動きを受け、IT業界における求人案件数が増加傾向にある。また同業界にクライアントを抱えるコンサルティング業界も、求人案件数が増加。具体的には、フィンテック、サイバーセキュリティ、AI、業務基幹システムの導入業務における人材の採用ニーズが高い。
日系企業の日本人現地採用においては、日系企業への営業強化のため、金融業界はもちろん、業界問わず広く若手の営業職のニーズが増加。一方外資系企業の日本人採用においては、業務基幹システムの導入業務の経験がある人材や経営コンサル経験者を求める求人が増加傾向。背景として、東南アジアでのIT部門や地域統括機能を強化したいと考える日系企業が増えていることが考えられる。
引き続き、就労ビザの取得基準が厳格化しており、求人案件の給与条件とマッチする候補者が限定的になっている。そのため、同じ候補者に複数の案件からオファーが出るという事象が発生しており、決定率が相対的に低くなっている。
【転職事例】内部監査マネージャー(日系人材)/日系・製造企業/50代前半/約1,000万円(年収)
ジャパンデスクヘッド
野﨑 裕司(のざき ゆうじ)
タイの転職市場は、夏の賞与支給を終え活発化。企業の動きとしては、バンコクエリアは商社・食品・消費財・建築不動産業界を中心に求人需要が堅調な状況が続いている。一方で製造業が多いタイ東部は昨今のタイバーツ高、世界経済への先行き懸念から、新規採用は消極的になっている企業も見られる。
当社と取引のあるバンコクエリアの日系企業では、人的コストの削減を目的に経営の現地化を進めており、当初日本人担当者で構成されていた営業部隊は徐々に日本本社ともやり取りが可能、かつ現地での営業ができる人材へとシフトしてきている。このような現地化に伴い、マネジメント経験を持った将来の幹部候補採用のニーズも高い。また現地化を進める状況下にあっても、タイ東部においては日本人技術職の需要が顕著。しかし生活環境面を理由にバンコクでの就職を希望する求職者が多く、企業は採用難が続いている。
現地の求職者の動向としては、バンコクエリアは、経済成長に伴う生活コストが引き続き上昇傾向にあり、求職者の希望給料においても前職より高く設定する傾向があることから採用コストを抑えたい日系企業とのミスマッチが発生している。また製造業の多いタイ東部エリアは、景気後退の影響を受けて求職者の活動は鈍化。世界の貿易縮小とタイの貿易相手国の景気減速により輸出量が減少していることが原因と考えられ、しばらくはこの傾向が続くと想定される。
【転職事例】営業(日系人材)/日系・建設設備会社/20代半ば/約93万タイバーツ(年収)
カントリー・マネージャー
宮尾 真司(みやお しんじ)
日本からベトナムへの新規投資件数は引き続き増加している。新規投資額としては前年度比でだいぶ減少しているものの、進出した日系企業が生産・販売拡大のフェーズを迎えており、引き続き日系企業の採用需要は高い。
日系企業の動向としては、ベトナム北部で大型ショッピングモールや工業団地の建設が急拡大しており、それに伴い建設業・製造業の採用ニーズが高く、特に建設業については求人案件が前年同月比で4倍となった。
日本人求職者についてはベトナムで日本人駐在員の家族連れが増加しているのに伴い、教育・研修業界での日本人採用実績が増加。また繊維業界の生産が中国からベトナムにシフトしていることも影響して、アパレル・繊維業界経験者で50代以上の人材の登録が増加した。
現地の求職者はいかに日本語能力があるかがポイントとなり、英語人材に比べ日本語能力のある人材の給与相場は月給にして100 USD変わってくるほど、企業による人材獲得競争が続いている。
【転職事例】通訳(現地人材)/日系・製造業/20代後半/約18,000 USD(年収)
カントリー・マネージャー
横沢 朋(よこざわ とも)
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